大切に使われたものは、大切に使いたくなる
物理の先生お勧めの参考書を2年生に上がってすぐ買い求めた。
先生によると、現在出回っている改訂版は業界で「劣化版」のレッテルを貼られているらしく、古いバージョンが良いだろうとのこと。
若手の先生であるから、先生自身が受験勉強に使った、すばりそのものである。
当然のことながら古本を探すしかなく、先生に言われたとおりにAmazonを覗いてみると旧バージョンの参考書があるのだが、この価格がなんと「3円」なのだ。
その1、その2、と2冊買いそろえても10円もしない。
本来捨てられる運命にあった参考書が偶然訪れたネット通販社会に救われたのだから当然のことなことなのかもしれないが、10円以下の本に払う送料が300円というのは、やはり不思議に思ってしまう。
第二の主人のもとで勉強の手助けをすることになった参考書自身の気持ちも気になる。
ぼくとしては、前の主人によって残された苦闘の痕跡が背中を押してくれて、なんだか一緒に頑張っている気分になる。心強い。
嫌う人も多いそうだが、ぼくは古本が好きだ。