日本の瓦
少しずつにはなりますが、隠岐の島で見聞きしてきたことをまとめて記録に残していきます。
隠岐の島の街並みを見ていて、ひとつ気になりことがありました。
隠岐の島は西郷というフェリーの発着する港町が中心地で、島を回って行くと、小さな集落が海辺に点在しています。
隠岐の島の北西部に五箇村という村があり、竹島はこの五箇村の一部です。
現在、自治体としては隠岐の島町の一部として引き継がれています。
この五箇に八幡さんはお住まいで、ここにお話を伺いにいきました。
このことは、また別の記事に詳しく書きます。
この五箇の港から、八幡さんの叔父さまをはじめとした漁師さんたちが出港していきました。
この集落の家々を見ていてふと思うことがあります。
瓦屋根が茶色い。
瓦といえば、ぼくらの地域では姫路城をはじめとした、黒っぽい瓦しか見たことがありません。
そのことを、島内を二日間に渡って連れ回ってくださった野村さんに質問してみると、ひと通り回りきったときに、お知り合いの瓦店を営む方のお話を聞かせていただけました。
お話によると、この茶色い瓦は石州瓦という瓦だそうで、島根で作られる瓦だそうです。
特徴は、その茶色い色と耐久性。
石州瓦は他の瓦より高温で焼くので、豪雪や潮風に強いため日本海側で普及したそうです。
その瓦屋のおじさんが仰ったことでひとつ嬉しかったのが
「三州が一番の産地だけど、美しさで言えば間違いなく淡路瓦やね」
淡路瓦は釉薬を塗らずに、表面処理によってあの色を生み出すそうです。
ただ、耐久性に関しては石州瓦が一番だそうで、日本海側の厳しい環境から家を守ってきた偉大な瓦です。
五箇をはじめ、隠岐や島根、鳥取の街並みに茶色い瓦屋根が続く風景は、本当に美しい風景でした。淡路瓦とは全く違う魅力があります。
特に、五箇の漁師町の家々は、漁師さんたちが住んできたという雰囲気に包まれていて、とっても素敵でした。
瓦ひとつとっても、地域によってこんなに特色がある日本。
京都や江戸の文化はその一つの文化であるだけで、その地域それぞれ、他にないものを持っているというのが日本文化の魅力なのだと思います。
ただ、その瓦もどんどん近代的なものがでてきて、伝統的な作り、機能的な作りのバランスをどう取っていくのかが難しいところだそうです。
そもそも、瓦屋根の家自体が減ってきていて悲しいですね。
姫路に行く機会があり、その瓦屋根の街並みを見てきて沢山思うことがありましたので、隠岐での瓦の話をはじめに書きました。
見てきたのと変わらない、あの茶色い瓦屋根にお住まいだった漁師さんが竹島に、生活の一部として漁に出られていたのです。
ぼくらの普段住む場所と全く変わらない、ごく普通の領土をすぐ隣の国に盗られたままでいいのでしょうか。
竹島をより身近に感じられました。
ぼくらの手で取り返しましょう。