たね
百粒蒔けば百粒芽が出る種もある。
ひとつしか芽が出ないときも、ひとつぶも出ないときもある。
毎年花を咲かせ、実をつけ、持ちうる限りの力を振り絞って種を飛ばす植物。
だれも見向きもしない雑草から、仰ぎ見上げる大木まで、みんな同じ。
どこに運ばれて、本当に芽が出るかもわからない種を作るために、枝を広げ、葉を茂らせる。
最後には枯れ、朽ち、土に帰るだけ。それだけ。
それなのに、なぜ、あんなに生き生きとしていられるのか。
目的が、自分のためではなく、命を繋げていくこと。
そのたったひとつに絞られているから。
そういう生き方がしたいです。
実らなくとも、芽が出なくとも、種を淡々と蒔き続ける。
そこに初めて生き方を見つけられるのではないでしょうか。
どう生きるべきか。
という最大の難問も、答えは足元にあるのでは。
頭を整理すると、ぶち当たっていた見えない壁に、すこし正面から向き合えた気がします。